漁師さんにインタビュー
漁師
市川 将彦さん
家業を継いで漁師となる。出荷までの丁寧な仕事には定評があり、神経締めや血抜き処理 はもちろん、出荷する場所や輸送時間までも計算に入れた処理を施し、取引先の料理店からの信頼も厚い。

漁師になったきっかけは? 祖父の時代から半漁半農をしており、私は子どもの頃から父親と漁には出ていました。職業として漁師になったのは26歳の時とき。それまで地引網やエビ網漁をしていましたが、父親が定置網漁を始めたのをきっかけに専業になったんです。もともと釣りは好きでしたし、長男でもあるので、そのまま家業を継いだ、という感じです。

定置網漁ではどんな魚が獲れるんですか? イワシ、ヒラメ、タチウオ、メジロ、ハモ、鯛、イサキ、伊勢海老などなど、量は多くありませんが、いろんな種類の魚が獲れます。

漁師としてのこだわりは? 獲った後の処理でしょうか。自分が獲った魚をどこに出荷するのか?輸送にかかる時間や時期、市場から店頭に並ぶまでの時間を逆算して、下処理をしています。神経締めはもちろん、輸送時の氷の量や温度など、鮮度を保つための努力は惜しみません。お客様の手もとに良い状態でお届けすることも、漁師の仕事だと思っています。 5年程前に、町のイベントで対面販売を経験したんのですが、その時にお客様が「美味しい」、「良い魚だ」と直接言葉をいただきました。それまでは、市場に卸して終わりでしたが、直接、消費者や取り扱ってくれる料理人と会話することで、自分が獲った魚に自信を持つようになりました。「もっと自分の獲った魚を食べて欲しい」、そんな想いも生まれました。

これからの目標は? 全国的に後継者不足の問題があり、由良町もそれは同じです。町内には自分を含め30~40代の漁師は5名程しかいません。自分たちの子どもたちが、漁師を継ぎたくなるようにするには、儲かる産業にしていかなくては。そのためには意識改革も必要だと思っています。 漁師が自分たちの獲った魚を自ら販売していく、販路の拡大も見据えて営業活動も行っていくことが大事だと考えています。ただ、今の限られた人数では一足飛びには出来ません。少しでも取引してくれる店舗を増やしていくには、今の仕事を丁寧に、誠実にしていくこと。コツコツやってきたことで、今は紹介(口コミ)も増えています。

好きな由良の魚は? お盆の頃に獲れるカンパチ。脂が乗り、身も太っていて美味しいですよ。自分は、締めてから1週間ほど寝かし熟成させて食べます。うまみ成分が増え、刺身で食べると最高です。今、熟成魚が注目されていますが、上手く血抜き処理をしないと臭みが増える場合もあり、魚種によっては寝かせる時間も異なります。ぜひ、美味しい食べ方で魚の新たな魅力を発見してください!